徹底的な顧客視点こそが自分の武器。Pepperや産業ロボットを扱ってきた男がクーガーに魅せられた理由

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ソフトバンクでPepperを担当し、エクサウィザーズで産業ロボットに携わった後、クーガーに加わったテクニカルアカウントマネージャーの直野廉さん。扱ってきた商材は一貫して「ロボット」。どんな困難にも諦めず、泥臭く挑戦し、お客様の経営課題をロボットで解決してきた人物です。そんな直野さんのエネルギーの源とは?その原点と未来への想いを伺いました。(インタビュー実施日:2025年1月17日)

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プロフィール

直野 廉 / Ren Naono テクニカルアカウントマネージャー

新卒でソフトバンクに入社し、トイレIoTのWebアプリ開発に従事した後、強い希望が叶って人型ロボット「Pepper(ペッパーくん)」の事業開発部門に異動。主に法人向け拡販に向けた営業企画を担当した後、エクサウィザーズへと転職し、ロボットアームを活用した技能伝承等のプロジェクトを担当。2024年2月にクーガーへジョインしてからは、テクニカルアカウントマネージャーとして、レイチェルの業務活用に向けた多様な提案を仕掛けている。

「勇者シリーズ」の原体験と、「Pepper」担当への執念

これまでのキャリアを拝見すると、一貫して「ロボット」を扱われていますよね。なぜロボットなのでしょうか?

子どもの頃に、通称「勇者シリーズ」と呼ばれるロボットアニメシリーズが放送されていたのですが、そこで人間とロボットが友人みたいに分け隔てない関係性で描かれていまして、当時小学生だったのですが純粋に「いいな〜」と感じたんです。気づいたら、ロボットだろうが人間だろうが、関係なくコミュニケーションが取られている世界観に夢中になっていて、今思えばその時の記憶が原体験になっていますね。

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勇者シリーズ、懐かしいですね。

その後、2000年頃にはかの有名な本田技研工業の「ASIMO(アシモ)」が大いに話題になり、テレビCMにも登場するようになりました。徐々に人間社会に人型ロボットが浸透していく様子を眺めながら、人生の一大テーマとして追いかけていきたいと考えるようになり、中高と理系に進み、大学でも機械工学系の学部に進学しました。

その流れで就職先もロボットに関わるような仕事をしたいと思っていたのですが、当時、ASIMOのブームは去っていて、人型ロボット業界全体も下火という状況でした。そうは言っても、やっぱりロボットに携わる仕事に就きたい!そんなモチベーションで技術と事業の2軸でひたすら調べていったところ、当時のソフトバンクが「これからロボット事業をやる」と掲げていたんですよ。まだPepperがリリースされる前の話です。

その言葉を頼りに同社を受験し、面接でもひたすら「ロボットをやりたい」と伝えながら選考を進めていき、晴れて2014年4月に入社しました。そしてその2カ月後の6月に、満を辞してPepperが発表されました。

すごいタイミングですね!そのままPepperに携わることになったのでしょうか?

いえ、当時は全く違う部署に配属されていて、トイレ×IoTがテーマのWebアプリ開発などをやっていました。最初はエンジニアだったんです。でも、その間も延々と「Pepper」「Pepper」と言い続けていて、勝手にPepperのアプリ企画書を作って事業部に持っていくなどしていたので、3年後には晴れてPepperの事業開発部署に異動することができ、主に法人向け拡販に向けた営業企画を担当することになりました。

当時、Pepperは3年契約が基本プランだったので、契約更新に向けて活用状況をヒアリングし、次期契約に向けての提案をしていくのがメインの業務でした。それに付随して、Pepperの胸部分にあるパネルで動作するアプリの企画開発も担当していました。訪日観光客向けの問い合わせ対応アプリなどを、プロダクトマネージャー的な立ち位置で作っていましたね。

検索技術がストロングポイントになっている点がめちゃくちゃ面白い

そこから3年ほどで、今度はAI企業のエクサウィザーズに入社されていますね。どんなきっかけで転職されたのでしょうか?

Pepperの法人営業を担当して3年が経ち、色々な業種の会社様に導入いただくことができた中で、既存のハードを使っていかに人間社会にロボットを溶け込ませるかという観点でのビジネス解像度は、ある程度深まりました。そうなると、今度はソフトの方の知見をレベルアップさせたい、と思ったわけです。

そこで、思い切って入社したのがエクサウィザーズでした。ここでは、ロボットアームを使って人が日々やっている業務を改善し効率化させるという、コンサルティングに近い業務を行っていました。対象としていたのは、製造業を支えている熟練の親方がいるような、技能承継が必要な業務です。

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難しそうな領域ですね。

人がやっている業務の要素をいかに分解し、謎を解き明かしていくのかという観点で非常に面白かったのですが、一方で、ロボットとAIが思った以上に世の中に入っていきにくいことを痛感した経験でもありました。ここでの試行錯誤を通じて徐々に、自分の中に技術とビジネスの両軸で課題解決を進める素地が養われていった印象です。

そこからどんな流れで、クーガーにジョインされたのですか?

エクサウィザーズでは複数のプロジェクトを担当していたのですが、いずれもひと段落ついたところで、改めて人型ロボットをやりたいなと思いました。2023年中盤ごろの話です。ソフト技術を使って、いかに人型ロボットと人のコミュニケーションを円滑化させ、人の持つポテンシャルを最大化させることができるか。そこを本気で考えていったときに、クーガーのバーチャルヒューマンがめちゃくちゃ面白そうだと感じました。

どういうところが面白そうだと感じましたか?

まず、人型である理由・哲学がはっきりとしていることですね。たとえば誰かと話をする時、無機質なスマートスピーカーに話しかける時と友達や家族に話しかける時とでは、後者の方がよりカジュアルに接することができる、という方が多いのではないかと思います。あと、何かを学ぶ時も、のっぺらな画面で情報を受け取るよりも、人の表情や身振り手振りがあった方が情報の理解度や記憶への定着度が高まるというデータがあります。結局、人に最も伝える力を持っているのは人、なんですよ。このような理由で、バーチャルヒューマンという表現手段を選択している点が魅力的だなと感じました。

あと、検索技術に強い会社だという点も面白いと感じましたね。代表の石井を始め、クーガーには楽天やヤフー、メルカリ、マイクロソフト等で検索エンジンを作ってきた検索技術の猛者たちが多く在籍しています。これから生成AIが広く使われるようになって、あらゆる事象の情報量が爆発的に増える時代だからこそ、その中から適切な情報を見つけ出す検索技術は、さらに重要度が増していくと考えています。

検索、AI、そしてゲームという基盤となる技術領域で確固とした実績・ストロングポイントがある点も素晴らしいなと思い、ここなら人型ロボットの探究ができると考えてジョインを決めました。

人生を通じてずっと人型ロボットを探究されてきたと思うのですが、テーマとして飽きないものでしょうか?

全くもって飽きないです。人型ロボットって、いい意味でハードルが高すぎるんですよ。一歩一歩階段を登っていく必要があって、まだまだ2合目くらいの印象なので、飽きている余裕はありませんね(笑)

とにかく、現場の解像度を高める

クーガーではどんなお仕事をされているのでしょうか?

大きくは2つあります。メインでは、テクニカルアカウントマネージャー(TAM)と呼ばれる、大規模なプロジェクトの提案とデリバリー、その後の顧客管理を担う役職に就いています。クーガーでは基本的に「①提案、②業務分析、③開発、④システム導入、⑤導入後の伴走」というサイクルでプロジェクトを動かしていくのですが、この中の開発以外をカバーする存在です。

レイチェルの導入に向けたお客様との関係構築や、業務整理・要件整理、運用時の保守まで、一気通貫で対応しています。あともう一つは、いわゆる営業です。自分からプッシュ型で声をかけていき、案件化していく部分もやっています。業務比率としては、TAM:営業=7:3くらいですね。

両方やっているのはすごいですね!!

クーガーの中でも、この2つをやっているのは自分くらいだと思います(笑)

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TAMとしては具体的にどんな案件に入っているのでしょうか?

一番大きい取り組みは、こちらでも発表させていただいた、ファミリーマート様のプロジェクトですね。端的にお伝えすると、売上成績の良い店舗での成功要因を抽出し、売上成績が相対的に低い店舗にフィードバックして、店舗運営力の向上に繋げるというものになります。

例えば、日々の営業数値をチェックしながら売れ筋商品を分析し、売り場に反映するという店長業務があります。プロジェクトを進める中で複数店舗の店長にヒアリングをすると、意外なことに、この業務ができていないところが少なくない状況でした。より業務を浸透させるべく、店舗運営に必要な情報の表示から、発注のアドバイス、売場作りのポイントまで、店長をサポートするための媒介としてレイチェルが活躍しています。

なるほど。営業としてはどんな案件を担当されているのですか?

まだ詳細はお伝えできないのですが、誰もが一度は耳にしたことのあるようなエンタープライズ企業の、某商材の販売サポートとして、レイチェルの導入を推進しています。こちらは純粋な営業というよりかは、そのままTAMとしての役割にシフトしながら、包括的に担当しています。

他の従業員の方から、「直野さんのやり切る姿勢はすごい」「直野さんじゃなかったら諦めていた案件もあった」といった声を多く耳にしています。ご自身の中で、仕事をする上で大事にされていることを教えてください。

自分じゃあなんとも言えないですね(笑)例えば今お伝えした営業案件のお客様は、やっていることは普遍的な内容なのですが、いきなり提案しても門前払いになるので、まずは最初の2週間ほどで関係者30名ほどにひたすらインタビューしていき、お客様の課題感の解像度を高めていきました。

他にも、例えば小売業務の店長の場合は、店長業務の解像度を高めるために、初期の段階で店長へのヒアリングを繰り返すことで、何が課題になっているのかを見極めていきました。基本的に、どのお客様でも同じスタンスで取り組んでいます。

まさに、戦略コンサルがやっているようなアプローチですね。いつ頃からその「スティッキーな姿勢」が醸成されていったのでしょう?

Pepperを担当していた時から、やっていることは変わらないと思っています。あの時も、継続してもらうための障壁が何なのかを理解するために、とにかくお客様がPepperを使っている現場に行って理解を深めていきました。現場の解像度が高まることで成功確率も高まる、という成功体験はここで醸成されたと感じますし、自分が特に価値発揮できる部分もここにあると考えています。

プロレスから学んだことは多い

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クーガーの2024年納会で司会をする直野さん

直野さんの「諦めない精神」は、どうやって培われていったと感じますか?

もはや、物心がついた頃からな気がします。子どもの頃に体操をやっていまして、両親曰く、信じられないくらい毎日バク転の練習をしていたらしいです(笑)何回も諦めずにやったら、ちゃんとできるようになる。そこがもしかしたら、原体験かもしれませんね。

あと、小さい頃からゲームが好きだったので、ゲームをクリアする感覚で課題と向き合っているのかもしれません。結構、辛い系のゲームが好きなんですよ。「DARK SOULS(ダークソウル)」シリーズは大のお気に入りで、そういう「辛い環境の中でクリアする癖」みたいなのがあるのかもしれません。クーガーにはゲーム好きなメンバーが多いので、そういうカルチャーも、会社の好きなところだと感じています。

直野さんのプロレス愛を感じる記事も拝読しました。プロレスから学んだことや、生き方/仕事のあり方に影響している点などあれば、教えてください。

この記事でも言及しているプロレスラー・内藤哲也さんには、多大なる影響を受けていますね。特に「言葉にしないと物事は伝わらない」「自分の思ったことは必ず言う」という姿勢は、内藤さんの言葉から学びました。また、常に一歩を踏み出す勇気を持つことも、プロレスから学んだことだなと思います。常にアクションを撃ち続けることで、事態は刻々と動いていきます。

さらに、逆転するまで諦めない姿勢も、プロレスを通じて醸成されていきました。Pepperの部署に異動したエピソードは、まさに諦めの悪さを体現していますね。今は分かりませんが、少なくとも当時は、エンジニアから法人営業への異動なんて普通は無かったですからね。プロレスから学んだことは多いですね。

直野さんの夢も知りたいです。

人生のテーマは一貫していて、人がもともと持っているポテンシャルを、人型ロボットを通じていかに開花できるかの探究と実践です。先ほど「人型ロボットの世界観はまだ2合目くらい」だとお伝えしましたが、そうは言っても生成AIの登場で集合知の形成が促進され、自分が思い描いてきた世界に着実に近づいている印象です。そこに向けて、引き続きもがいていくだけです。

最後に、クーガーへの入社を検討している方々にメッセージをお願いします。

弊社のポイントは、いかに人に着目するか、だと思います。ユニークな技術を使って、いろんな業種のいろんな人の話を聞きながら課題解決のお手伝いをしていくので、純粋に面白いと思います。人のパフォーマンスをいかに上げていくかに興味がある人、ぜひご応募ください!